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1. Juliusでの音素環境依存性の扱い方

Juliusにおける音素環境依存性の扱いは,与えるモデルが以下のどれかの条件 にマッチしたときに ON になります.

音素環境依存性の扱いが ON になった場合,Julius は辞書ファイル内の単語 の音素名から "-" や "+" をつけた名前を生成して,HMM定義へのアクセスを 行います. この音素環境依存性の扱いの ON / OFF は,起動時に出力される System Info メッセージ内の HMMInfo セクションで 確認できます.

音素環境依存性を扱うタイミングは,単語内と単語間で異なります.まず 単語内の依存性は第1パスから扱います.Juliusは初期化時に辞書ファイ ルを読み込む際に,辞書の音素表記を以下のように変換しながら,対応するHMM を割り当てていきます.このとき単語の先頭と終端は biphone の表記でアクセ スします.また1音素からなる単語については monophone としてアクセスしま す.

英訳+エイヤク+17        [英訳]  e     i     y     a     k     u 
      ↓
英訳+エイヤク+17        [英訳]  e+i e-i+y i-y+a y-a+k a-k+u k-u 
単語間の依存性は第2パスで扱います.第2パスの探索時に,ある仮説から次の単語 を展開する際,接続部のモデルを依存性を考慮して切り替えていきます.
今日 + は       ky+o: ky-o:   h+a    h-a 
      ↓
今日 は         ky+o: ky-o:+h o:-h+a h-a

Juliusでは基本的に,全ての出現し得るtriphoneについて対応するHMMの定義 を用意しておく必要があります.また,単語の始終端の音素や,1音素からな る単語を考慮する必要があるため,片方のコンテキストのみの e+i,k-u と いった biphone や,e, k などの monophone も全て同 様に参照可能にしておく必要があります.(詳細はこの文書の「注意」を参照 のこと)

hmmdefsで定義されていないモデルについては,次節で解説するHMMListファイルでマッピングを指定します.


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